釣り用クーラーボックスの違いについて説明します

元釣具屋店長が釣り用クーラーボックスの違いについて説明します。違いが分かればクーラーボックス選びで失敗しません。あなたの釣りや用途にあったクーラーボックスを手に入れてより楽しくフィッシングライフを送ってください。

釣り用クーラーボックスの価格の違いは中身の違い

釣具屋店員時代、よくお客様から質問されたのがクーラーボックスの価格差についてです。クーラーボックスの本体はシリーズで同じ型を使用していますから見た目は一緒なのにその価格には大きな違いがあります。クーラーボックスの価格差を大きく左右しているのは本体の中に入っている断熱材の違いです。では大きく3種類の素材がありますので説明していきます。

スチロール素材のクーラーボックス

発泡スチロール素材は昔からクーラーボックスの断熱材として知られています。釣り用のクーラーボックスの断熱材としても多く使われています。特徴は価格の安さです。次に軽量ということです。ホームセンターなどで多く販売されているレジャー用の低価格のクーラーボックスも、その壁の中身は発砲スチロールとなります。デメリットとして本体の壁の厚さが薄い発砲スチロール素材を利用したクーラーボックスは保冷力が弱くなります。保冷力だけで言えば全体が発泡スチロールのクーラーボックスは強度を出すために厚さがあり、保冷力も上がりますのでおすすめです。

ウレタン素材のクーラーボックス

発砲スチロール素材よりワンランク上のクラスに多く使われている断熱材が発砲ウレタン、硬質発泡ウレタンなどです。発砲スチロールより約1.5倍断熱性能が上がります。高密度で硬く発砲スチロール素材よりも頑強になります。また壁に充填して作られ壁の隅々まで入るため断熱性も向上します。デメリットとしては発砲スチロールよりも重くなり、価格も上がります。

真空パネル搭載のクーラーボックス

真空パネル搭載とはその名の通り真空パネルをクーラーボックスの壁に入れることで断熱性能を向上させています。真空パネルを底1面に搭載したもの、底と前面と後面に入れた3面に搭載タイプ、全面に入れた6面に搭載のタイプなどがあります。さらに構造上さしつかえないまで厚くした真空パネルを6面に搭載したタイプなども発売されています。ここまでくると省エネタイプの冷蔵庫の壁と同じような感じです。真空パネルの枚数に比例して保冷力もアップしますが価格もアップします。また真空パネル以外の部分はウレタン素材となりますので重量も重くなります。保冷力の高いクーラーボックスほど重くなります。

釣り用クーラーボックスの形状と選び方

横長タイプのクーラーボックス

釣り用のクーラーボックスには高さを抑え横幅を長くしたタイプとそうでない昔ながらのタイプに分けられます。横長のタイプはダイワではトランクという商品名が入り、シマノではスペーザという商品名が入ります。横長のタイプは車のトランクに積み易いということを考慮し作られ、また長さのある魚を入れるのに便利というメリットがあります。大型の60Lや80Lなどはブリやヒラマサなどの大型魚や遠征釣り、深場の数釣りなどに利用されます。

横長以外のクーラーボックス

横長にしていない、昔からある釣り用クーラーボックスの形は比較的コンパクトで約10L以下の小さいサイズもあります。反面、大きくても約30Lまでの大きさまでしか販売されていません。長い体形の魚を入れない限り場所を取らず便利な面もあります。また高さのあるペットボトルなどを収納する際などに向いています。

投入口の有無の差

釣り用のクーラーボックスでは投入口のあるタイプと無いタイプがあります。蓋の部分の保冷力が若干落ちてしまう分、高保冷力タイプには付いていません。投入口が活躍する一番のシチュエーションは小物の数釣りです。大きな蓋を何度も開け閉めしているとその都度中の冷気を逃がしてしまいます。小さな投入口から魚を入れることで中の冷気が逃げず氷や保冷剤が解ける時間を長くしてくれます。

釣り用クーラーボックスのサイズ選び

釣り用クーラーボックスは釣れる魚のサイズと数に氷や保冷剤の大きさを考慮したサイズが基本です。まずはシーズンを通してどんな釣りに行くかを想定し自分の行く釣りではどれくらいの魚が釣れるのかを考えます。そしてどれくらいの氷や保冷剤の量が必要か、季節や釣り場の環境、使用時間によって大きく変わります。保冷力の高いものと低いものでは氷や保冷剤の量も変わってきます。初心者の人は分かりにくいと思いますので、そんな時は釣果情報を参考にすると良いでしょう。船釣りでは多くの船宿で釣果情報が毎日のように更新されています。堤防釣りでは釣具店などのHPを参考にすると良いでしょう。淡水の釣り物もスポーツ新聞の釣り欄や漁協のHPなどで釣果情報が毎日出ています。それらを考慮してクーラーボックスのサイズ選びをすると良いでしょう。また飲み物や弁当などを入れるスペースを考慮するのも大切です。

釣り用クーラーボックスの断熱材を選ぶ

釣り用クーラーボックスの断熱剤は使用環境に応じて選ぶのが良いと思います。例えば近所に釣り場があり釣った魚を家まで運ぶのに時間がかからないような方や、朝マヅメや夕マヅメだけしか釣らない方などです。魚を家まで持ち帰る時間が短いのでたとえ夏でもミドルクラスの保冷力があれば事足ります。冬季では発砲スチロールを使用した保冷力の低いタイプでも問題ないでしょう。次に釣り場から家まで時間がかかるような方、朝出かけて帰宅するのが夕方や夜になってしまうような方はある程度の保冷力があった方が無難です。特に夏季は氷や保冷剤が解けるのも早くなります、発砲ウレタンを断熱材に使用したミドルクラス以上の保冷力が必要となり、おすすめは真空パネルを採用したものから上位機種となります。次に一日堤防上や磯に乗る方、船上で丸一日釣りをする人、アユ釣りや渓流釣りで丸一日車の中にクーラーボックスを入れるような方です。このような方は真空パネル搭載で、できれば6面真空パネル搭載の高保冷力タイプがおすすめです。

釣種専用のクーラーボックス

釣りのジャンルによってはクーラーボックスがカスタムされて販売されています。投げ釣りやエビ活かし用、ワカサギ用、イカ釣り用、またロッドレストやロッドホルダーなどが装着されているものなどもあります。初めからそのジャンルの使い勝手を良くするために考えられていますので便利です。

釣り用クーラーボックスをカスタムしよう

自分の釣りのスタイルに合うようにカスタムできるのが釣り用クーラーボックスの特徴です。これはアウトドアメーカーのクーラーボックスにはない大きな違いです。ロッドスタンドやロッドレスト、ロッドキーパーやサイドポケット、サイドボックス、トレーなど色々なアクセサリーパーツが発売されています。また最近では肩ベルトも付属していないものが多くありますので注意してください。

まとめ

釣り用クーラーボックスはその大きさや性能に大きな幅があります。色々な釣りをされる人ほど、何種類かのサイズや性能の違うタイプが必要になります。例えば私の場合、日帰りの小物釣りや渓流釣り用に12Lのウレタンタイプ、アユ釣りや堤防釣り用に20Lの6面真空タイプ、ヒラメやタイなどの船釣り用に35Lのウレタンタイプ、ワラサやカツオや数の釣れる船釣りに50Lのウレタンタイプのように使い分けています。この記事をご覧の方もぜひ自分の釣りのスタイルやジャンルにあったクーラーボックスを手に入れ魚を鮮度よく持ち帰りおいしくいただいてください。