これで折らない‐正しいのべ竿の扱い方を説明します

私が釣具店で働いていた時、一番お客様に説明していたといっても過言ではないのべ竿の伸ばし方仕舞い方について書きました。「俺は何十年もつりしているんだ」と言っているベテランさんでも意外ときちんとできていないのべ竿の基本を説明します。基本を覚えてしまえば壊したりすることも防げます、逆に基本ができていないと竿は意外と簡単に壊れて(折れて)しまいます。きちんとした使い方を覚えて釣りを楽しみましょう。(注)この記事ではカーボンやグラス製の竿を前提にしています、和竿(竹製)のものは竿の特別な継方やパーツの数え方などに違いがあります。

のべ竿とは

並継へら竿で釣るヘラブナ釣り

のべ竿の特徴は

のべ竿とはリールを使用しない竿になります。リールを使う竿には糸を通すガイドやリールを取り付けるリールシートなどが付いています。しかしのべ竿にはそのようなものは一切なく、穂先に道糸を付けるためのリリアンや金属のトップが付いているだけです。のべ竿は大きくわけると「並継竿」と「振出竿」と「一本竿」の3種類に分けられます。1本竿に関しては伸ばしたり縮めたりすることが無いため説明は割愛します。

「並継竿」ののべ竿

並継竿は手元に近い方の竿の上に、その上にくる竿を差し込むもしくは被せて長くしていく竿です。継ぐ部分に芯がある印籠継と呼ばれる作りのものもあります。印籠継は継いだ部分の曲がりをきれいに出すことができます、きれいに出せるということは強度にも影響しています。振出竿と大きく違うところは長い竿でも細く作ることができます。また継の部分を込み(こみ)と言いますが、こみの調整が必要なことが多く、低価格の万能竿などには使われない作りになります。竿が折れた際などはこみの調整を考慮して竿を修理に出した方が無難です。

「振出竿」ののべ竿

振出竿は竿の細い部分がすぐ下の太い部分の中に仕舞ってある竿になります。振出竿はその仕舞い方から長い竿になればなるほど仕舞った時に太くなります。並継竿にくらべて伸ばしたり縮めたりを頻繁に行う釣りに向いています。継の部分の調整をほとんど必要としないことから万能竿などの低価格の竿にもよく使用される作りになります。もちろん竿の素材が高価になればなるほど竿自体の価格も高価になります。また修理の際は並継竿と違い竿を修理出しせずに折れた部分だけをパーツで取り寄せて自分で交換することも可能です。

のべ竿の部分的な呼び方

へら竿

のべ竿の一番細い部分、すなわち糸を結びつけるリリアンや金属のトップが付いている部分を穂先と言います。すぐその下に継いである部分を穂持と呼びます。釣具店やメーカーでは修理やパーツの取り寄せの際などわかりやすく穂先を#1、穂持を#2と上から順番に何々番と言います。また一番下の太い部分は元竿、そのすぐ上の部分を元上と呼びます。手で握る部分を太く握りやすくしてある部分をグリップ、また握りと呼びます。並継竿の元竿最下部を竿尻と呼びます、振出竿では竿尻の部分に下栓が付いています。また各竿の筒状の上の部分を口と呼びます。竿を仕舞った際に口にはめるのが口栓、上栓です。振出竿では被せるタイプのトップカバーもあります。

のべ竿のよくあるトラブル

のべ竿の穂先

のべ竿の穂先や穂持の折れ

穂先は扱い方を間違えると簡単に折れます。釣り竿は全体で曲がって強度が保たれているものなので一か所に負荷がかかると簡単に折れてしまいます。よく起こる穂先を折ってしまう原因は道糸を付ける時とはずす時です。穂先を持って(つまんで)しまうことが原因です。道糸を結ぶ、はずす際はリリアンをつまむ、金属トップの場合は金属部分をつまんで行ってください。また振出竿でリリアンの竿の場合は竿をたたんだ状態で穂先のリリアンだけを外へ出して作業すると折らずに済みます。穂持(#2)も細いため折ってしまう方が多くいます。竿をたたむ際に穂先と穂持の継に近い部分をつまんでたたむようにしましょう。離れた部分をつまむと折ったり、捻じりすぎたりの原因になります。また竿の穂先から4節目くらいの細い部分を過度にまげるような糸のひっぱり方はやはり破損の原因になります。

のべ竿の固着

並継竿では過度に差し込み過ぎて抜けなくなる、振出竿では過度に引き出すことが原因で縮められなくなる現象が固着です。雨の日での伸ばしたり縮めたりはより固着しやすくなります。もし固着した場合は無理に外したり縮めようとせずに近くの釣具店に持ち込みましょう。固着はずしの修理も受け付けてもらえます。また振出竿では固着しやすい場所が竿それぞれにでてきます。その竿の癖のようなものと考えてください。例えば〇番目と〇番目の部分がいつも戻しにくくなるといった感じです。そうした部分を伸ばす際は他の節より力を加減して伸ばしましょう。

並継竿の固着におすすめジャクソンロッドエッグ

 

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並継竿が抜けなくなった時、ブランクの太さが7㎜~15㎜の竿であれば便利なアイテムです。エラストマー採用で力の伝達にロスがなく、固着時のお助けアイテムとなります。また車載時の竿どうしがぶつかり合うノイズを無くしたり、堤防に竿を立てかける時などの際に傷防止としても使えます。

のべ竿の中落

渓流竿の中落の例

中落は振出竿の取り扱いを間違えるとおこる破損の現象のことです。一番の原因は伸ばしたり縮めたりする時の順番を間違えることによって起こります。例えば9本継の竿を縮めるとします、元竿である9番に元上の8番を仕舞った時、5番と4番から上が落ちてきてしまったとします。その時6番と7番はつながったままです。この状態で6番を縮めようとすると先に落ちてしまった5番の口に6番の下の口がぶつかってしまいます。そのまま強引に仕舞ってしまうと、5番の口が6番の内側を削りとってしまいます。また釣っている最中にも上の部分が落ちてくる事があります。その時も落ちた細い部分の口が繋がっている太い部分の下の口にぶつからないように伸ばす必要があります。一度慎重に太い部分をたたんでから伸ばし直す方が無難です。中落は低価格のグラス製の万能竿よりカーボン製の竿ほど起こりやすい現象です。少々ややこしいですが、とにかく伸ばす、縮める時の順番が狂った時、竿の上の口と下の口がぶつかるようになることを常に頭に入れておきましょう。

のべ竿の上栓の紛失

のべ竿の上栓の紛失はよくあることです。とくに上栓は私が釣具店に努めていた時にもパーツ注文が途切れないほどでした。上栓をなくさないためには決まった場所のポケットにしまうようにしましょう。この時ベストやシャツのポケットなどでは下を向いたときに落ちないような場所がおすすめです。これはポケットのジッパーなどが付いていたとしても、閉め忘れた時に落とさないようにするためです。何かに紛れてしまうような場所、落としやすい場所には置いたり仕舞ったりしないようにしましょう。

下栓の紛失

下栓にかんしては釣っている間に落とす方が多くいます。緩んでいると落ちたことに気づかず釣りをしている方がほとんどです。下栓は釣りを始める前に緩んでいないかチェックをする癖をつけましょう。私の場合は自然に下栓を触る癖がついてしまっています。

のべ竿の伸ばし方

並継のべ竿の差し込み方

のべ竿の伸ばし方仕舞い方「並継竿編」

並継竿の伸ばし方は細い方からつないでいきます。元竿側からつなぐと重い方を持ち上げながら細く軽い方を継ぐ形になり破損の原因になります。竿の口に指の腹を添え差し込みます、差し込む時に軽く捻り(回し)ながら入れます、ただまっすぐに押し込むのではなく捻り(回し)ながらきちんと差し込むとしっかりと入ります。縮める時は太い元竿側から外していきます。この時も捻り(回し)ながら抜いていきます。伸ばす時も縮める時も握ったりつまんだりする位置は口に近い部分にしましょう。継目から離れた場所で力を入れたり、細い部分で力を入れすぎると捻じり割れてしまうこともありますので注意してください。

のべ竿の伸ばし方仕舞い方「振出竿編」

振出のべ竿の伸ばし方縮め方

振出竿を伸ばす時は細い方から順番に伸ばします。縮める時は太い方、すなわち元竿側から縮めていきます。中落の所でも説明しましたが、順番が狂わないように注意が必要です。伸ばしたり縮めたりする時に持つ位置は並継竿の時と同じで継ぎ目に近い部分です。近い部分を持ち、軽く捻る(回す)ようにしてしっかりと固定させます。勢いよく一気に引っ張りだすと固着の原因になりますので注意してください。また強く捻り過ぎると割れてしまいますので注意が必要です。縮める際も軽く捻る(回す)ようにして縮めてください。

まとめ

小物用ののべ竿で釣ったヤマベ

のべ竿は小物釣りや渓流釣り、ヘラブナ釣り、アユ釣りなど色々な釣りで使用されます。中落などのトラブルはなぜそうなったか気づかない人もいるほどです。きちんとした使用方法を覚えれば色々なトラブルや破損なども防げます。ぜひしっかりと覚えて楽しい釣りにしましょう。