テンカラ入門者こそ知っておきたいアタリとアワセとバラシの関係

今回はテンカラ釣り入門者こそぜひ読んで頂きたいアタリ=魚が毛鉤を咥えた合図、アワセ=毛鉤を魚の口に掛けるための動作、バラシ=掛けた魚に逃げられることの関係について書いて見ました。ちょっと長くなるかもしれませんがきっと参考にはなると思います。テンカラ釣りのアワセで悩んでいる入門者の方も多いと思います。そんな方こそぜひ最後まで読んで頂きイワナやヤマメやアマゴなどきれいな渓流魚たちとテンカラ釣りでたくさん出会ってください。

テンカラ釣りアタリの種類は大きく5つ

秋田県のイワナをテンカラで釣る
大きいシルエットの毛鉤は魚からも人からも見やすい

水面の毛鉤を咥えたのが見えるもしくは水面に変化が出るアタリ

テンカラ釣りにおいて一番わかりやすいアタリがこの水面の毛鉤を魚が咥えるアタリです。咥える瞬間が目で見えているわけですからハッキリわかります。このアタリは浮く毛鉤、すなわちドライフライを使用した時や毛鉤の種類は問わず水面に毛鉤が着水した瞬間に出るアタリです。ちなみにこのアタリ、魚が毛鉤を咥えるのが見えているので「アタッタ!」と言わず「出たっ!」と言うのが普通になっています。

ちょっと難しい水面に変化がでるアタリ

水面の毛鉤を咥えるアタリに近いのですが水面が盛り上がるアタリです。魚が毛鉤を咥えようと水面まで泳いできます、そして咥える一歩手前で魚の口や頭で水面が押されて盛り上がる感じです。正確に言えば前アタリと言うべきですね。また、水面直下に沈んでいる毛鉤を咥える時、もしくは咥えてから反転する時にも水面に変化がでるアタリがあります。この水面に変化が出るアタリは水面が波立っているようなポイントではわかりにくく、見極めるには慣れが必要です。

水中の魚が毛鉤を咥えるもしくは反転してギラっと光るのが見えるアタリ

秋田県のイワナを天龍風来坊で釣る
水面から50㎝くらい毛鉤が沈んだところで底から勢い良く現れ毛鉤を咥えた尺イワナ

水中に沈んでいる毛鉤が視認できている時、魚が毛鉤を咥えたのが見えるアタリです。見えているので分かりやすいですよね。問題なのは毛鉤が見えていない時のアタリです。これは水中で魚が毛鉤を咥える動きにより魚の魚体が光るアタリです。またヤマメなどは毛鉤を咥えてからエサではないと気づくと自分の体をぐるぐると回転させ、ハリを外そうとする動きをします。水中でヤマメがローリングしているのが見えたら既に毛鉤を咥えてアタリのあった後と言うことです。

ラインもしくはハリスの変化で見るアタリ

秩父のヤマメをテンカラ源で釣る

毛鉤を沈めて釣るテンカラの場合、ラインやハリスの動きを見てアタリを判断します。キャストしたあとラインやハリスは流れによって色々な動きをします。流れがほとんどないようなポイントではゆっくりと沈んで行くだけですがこれも動きのうちです。これらのラインやハリスの動きを自然な動きとする場合、魚が毛鉤を咥えることで自然な動きではなくなります。それまで一定の速度で流れていたラインが止められる、もしくはゆっくりになる。ラインがわずかに引っ張られる。ラインがスーと引き込まれて行く。これらの動きはほぼすべてアタリだと思ってください。ただし、重い毛鉤で浅いポイントを流したり、長く流して毛鉤を深く沈めると根掛かってラインが止まる時もありますのでご注意を。

手元に伝わる=竿にテンションが掛かるアタリ

群馬県のイワナを天龍風来坊で釣る
ピックアップの動作中に毛鉤を咥えたイワナ

毛鉤を沈め誘いを入れながら流したり、少しテンションを掛けて沈めていく釣り方をしたり、また流し切ってピックアップする瞬間だったりする時など、ラインやハリスが伸びた状態で竿から手に伝わるアタリです。少し難しい話ですが高弾性のカーボンを使用した竿では小さなテンションが掛かっただけでも感じ取れます。色々な釣りで共通することですが、繊細なアタリを取る釣りほど、できるだけ力を抜いて竿を手にします。ギュッと強く握った状態だとわかりにくくなるので余計な力を抜いて釣りをすることを心がけましょう。

テンカラ釣りアワセのタイミングは十人十色…毛鉤を咥えてからアワセるまでの早さは?

秩父の源流でテンカラ釣り

スレているイワナやヤマメのアワセ

アワセを入れるタイミングは人それぞれです。これからは私の経験上のことなので参考程度に読んでください。また毛鉤を咥えるのが目視できている時のアワセについて書いています。

スレている魚のアタリに対してはやはり早いアワセが必要になります。テンカラ入門者ではスレているイワナやヤマメ・アマゴは釣りをしているとその日の食いが悪い、魚の活性が低いと感じることがありますがそれとは違います。活性は良いけれど警戒心が強く毛鉤を安心して咥えない魚のことです。これらの魚に共通するのがアタリが小さい事です。水面の毛鉤に対しても小さく早くパシャッとでる感じです。また毛鉤を見ている時間が長く、恐る恐る毛鉤を咥える魚もいます。逆にスレていない魚はゆったりと毛鉤を咥える感じです。スレている魚ほど毛鉤を咥えている時間が短く、浅く毛鉤を咥えるイメージです。

キジ剣羽根を咥えるヤマメ

スレていないイワナのアワセ

スレていないイワナは遅いアワセの方が良いと思います。遅いと言っても毛鉤を咥えるのをしっかりと確認してからアワセを入れるイメージです。私は年に数回源流へ行きますが、ゆっくりと毛鉤に近づき大きな口を開けて毛鉤を咥え流れに戻っていくイワナは毛鉤を咥えることにまったく躊躇していません。釣っていて早いアワセは必要ないと実感できます。逆に慣れていない方が慌てて早いアワセを入れると結構すっぽ抜けて掛からないことが多いですよ。

スレていないヤマメのアワセ

スレていないヤマメのアワセは若干遅れ気味のアワセです。5月頃の秩父、釣り人の少ない川で陽の当たる流れの緩いポイントでライズを始めたヤマメが2尾いました。20㎝ほど上流に着水した毛鉤に近づき素直に毛鉤を咥えます。慌てずにアワセを入れるとしっかりと針掛かりします。写真を撮ってからポイントを見るともう一尾もまた水面に浮いています。このヤマメもすんなりと毛鉤を咥えました。まだ警戒心が弱いスレていないヤマメも毛鉤さえきれいに流れれば躊躇なく毛鉤を咥えます。イワナほどゆっくりとしたアワセではありませんが慌てる必要もありません。

テンカラ釣りアワセても掛からない理由を考えよう

埼玉県中津川でテンカラ釣り

そもそも毛鉤を咥えてない

これは水面や水面直下の釣りの話ですが、毛鉤に出たのに掛からない、乗らないといった時のことです。スレている魚でよくあることですが、パシャっと水面に出た魚が毛鉤を咥えていないことがあります。毛鉤のすぐ脇でこれはエサではないと気づき咥えずに反転したりします。咥えない原因としては毛鉤が合っていない、ドラグが掛かっているなど色々あるでしょうが、そもそも咥えていないのでいくらアワセても掛かりません。

ラインスラックでアワセが遅れている

これはテンカラ入門者の方に多くある掛からない原因の一つです。渓流釣りのマナーとして下流から上流へ釣り上がるのは常識です。当然下流側から上流側へキャストすることも多くなります。その場合、着水した毛鉤とラインは自分の方へどんどん近づいてきますよね。この時竿を流れに合わせて立てていきラインのタルミをできるだけない状態をキープしつつ流します。こうすることでアワセた時に毛鉤にテンションが掛かるまでの時間を短縮できます。ラインがたるんだままだとアワセてもラインが張るまでの一瞬が遅くなってしまうのです。またアワセも弱くなるのでハリ掛りしない、もしくはしっかりと針が刺さらずバラすことも多くなります。

毛鉤の毛が邪魔をする

これもテンカラ入門者の方によくあることだと思います。毛鉤の毛が針先を隠すように、いわばガードするようにある場合、掛かりが悪くなることがあります。特に硬い素材をしようしているような時は針先の邪魔をしないようにカットして使用すると良い場合があります。フッキングの確率を少しでも上げるちょっとした注意点ですのでぜひ覚えておいてください。

アワセを入れる準備ができていない

これは私のホームグランドである秩父でヤマメを釣っているとよくあることなのですが、毛鉤が水面に着水すると同時に魚が毛鉤を咥えます。この時ヤマメは毛鉤を水面に落ちる前から発見し、着水に合わせて浮上して咥えるのです。釣り人は着水と同時にアワセを入れられる状態でないとアワセが遅れてしまいます。キャストする前から準備が必要です。結構深い所からも飛び出しますからいつでもアワセられる準備はとても重要です。

テンカラ釣りアワセとバラシの関係を考えよう

静岡県の渓流で風来坊でニジマスを釣る

アワセとハリスやラインの太さや種類の関係

テンカラの場合そこまで神経質にならなくても良いことなのですが、ハリスやラインの太さや種類が変わるとその伸び率が変わることを頭に入れておくと良いと思います。例えば4号のレベルラインにフロロカーボンのハリス1.5号など伸び率の低いラインとハリスの組み合わせはアワセもしっかり入ります。それを撚糸のテーパーラインとナイロンハリス0.8号に変えて同じ竿と力でアワセをいれると前者の組み合わせに比べて針先が口に刺さる力が弱くなります。撚糸は構造上伸びが大きくありますし、ナイロンハリスはフロロカーボンより伸び率が高く、細くなればより伸びることになります。伸びるラインとハリスの組み合わせではしっかりとアワセを入れる必要が出てきますし、逆に、フロロカーボンのレベルラインと太ハリスではアワセ切れに加えて、竿の破損にも注意しなければならないと言うことです。

アワセを入れてもダメ?針先チェックの重要性

キジ剣羽根テンカラ毛鉤

アワセを入れても掛からない、魚のテンションを感じたのにすぐに外れた、バラシたそんな経験が多い入門者も多いのではないでしょうか?そんな時は一度針先をチェックしてみてください。針先を爪に立て引っかかるようなら大丈夫ですが、引っかからずに滑るようなら針先は鈍っています。鈍った針先ではかなり掛かる確率が落ちますので毛鉤を交換しましょう。慣れた方はフックシャープナーである程度復活させられますが、研げない方がやるとさらに悪化させてしまいますので注意しましょう。私もシャープナーは持ち歩いていますが、爪に引っかかるくらいまで研ぐ自身のない方にはおすすめしません。

私が使っているフックシャープナーはコレ

オーナ―のフックシャープナーS(仕上げ用)です。現在販売されているハリは化学研磨されていたり、コーティングされていたり色々と刺さりをよくする加工がされています。研ぐことはこれらの加工を落とす事になります。あくまで現場での応急処置的なもので新品同様にはなりません。また使い方、研ぎ方が悪ければさらに悪化するだけですので、まずは刺さりが悪くなった毛鉤で練習するのが良いと思います。

アワセと竿の硬さや調子との関係

4枚並べた写真の竿はそれぞれ長さ硬さ調子などが違います。同じライン・ハリスで使用した場合、同じ力と振り幅でアワセを入れてもハリが刺さる力はバラバラです。先調子の竿から胴調子に持ち替えた時、硬い竿から柔らかい竿に替えた時、アワセる力なども変える必要があるということを覚えておきましょう。弱いアワセはバラシのもとですし、逆に強過ぎるとアワセ切れや竿の破損にも繋がります。釣りは何でもそうですがバランスが大切です。

テンカラ釣りアタリとアワセとバラシのまとめ

イワナ

しっかりとアタリを見極めることも、アワセを入れる動作もやはり慣れが必要です。これがきちんとできるとしっかりと針掛りしてバラシを減らすことにも繋がります。これら一連の動作を釣りを始めて間もない人が完ぺきにできるはずありません。ベテランだってしくじります。だからこそ釣りは面白のかもしれません。ただどうしてダメだったかをきちんと理解できたほうが釣りが上手になると思いますので参考になればと思います。ぜひ次の釣りに活かせて頂けたら幸いです。テンカラをはじめたい方、はじめて間もない方はこちらの記事もぜひ参考にしてください➡テンカラ釣りは何を用意すれば良いか